という経験がある方も多いのではないでしょうか?そもそも等級とは何なんでしょう。
正確には「ノンフリート等級」と言われています。
自動車の保有台数によって「ノンフリート(1台〜9台)」と「フリート(10台以上)」がありますが、個人の場合はほとんどが「ノンフリート」に当てはまります。
ちなみに「フリート」とは「Fleet=艦隊」から来ています。自動車よりも先に船舶の保険から由来している名称です。
それでは、自動車保険の保険料に大きく関わってくる、その「等級制度」について詳しく見ていきましょう。
目次
自動車保険の等級制度とは?
自動車保険では、継続加入をしていくと1年ごとに割引率が高くなり、保険料が安くなっていく仕組みがあります。
初めて自動車保険に加入する際には「純新規」と言って、どの保険会社でも、6等級から始まります。
割引率は保険会社によって多少異なることもありますが、-19%前後の割引から徐々に高くなり最高等級の20等級では「-63%の割引」となります。
保険料率の改定が何年かに1度入るため、20等級に上がるまでの間の等級の割引率が変わることもあります。
事故により、自動車保険の保険金請求を行うことがなけれは、毎年等級が1等級ずつ、上がっていくことになり、「15年で20等級まで」登り詰められます。
例えば、純新規の6等級で保険に加入して、翌年の自動車保険満了にあわせて他社に切り替えた場合は、事故がなければ他社で1等級、上がった7等級で更新となります。
一部の共済では22等級までありますが、共済は日本損害保険協会に加入していないので、共済から一般的な損害保険会社に切り替える際には、22等級は20等級に読み替えられます。
事故により保険金の請求をしたら等級はどうなるの?
どんなに安全運転をしていても、避けられない交通事故や災害によるアクシデントによって、車両保険を使ってしまうこともあるでしょう。
事故により保険を使った際には、等級がペナルティとして「3等級下がります」。
20等級なら17等級へ、11等級なら8等級へと、3等級下がって割引率が低くなり、自動車保険の次年度の更新時に3等級下がった等級が反映され、そのことにより保険料が高くなってしまうのです。
いつも必ず3等級下がるわけではなく、事故の内容によって1等級しか下がらないものもあります。
例えば、飛来物により自動車の窓ガラスが割れたため車両保険で修理をしたとか、自然災害(地震・噴火・津波を除く)による影響や盗難のような場合で、保険を使うと1等級ダウンの事故になります。
3等級よりは少し緩和されますが、やはり次年度の保険料が高くなってしまうことには変わりません。
また、保険を使っても事故件数にカウントされない「ノーカウント事故」というのがあります。
これは、事故により使用する補償内容によるのですが「人身傷害補償」や「弁護士費用」のみの使用であったり、事故・故障時のレンタカーやレッカー搬送のみを使用した場合などは、事故件数として扱わないので、保険料にも影響しません。
3等級下がったあとはどうなるでしょうか?
自動車事故1件につき3等級下がりますが、その翌年から事故がなければ、また1等級ずつ上がっていくので、11等級から8等級まで下がっても順調にいけば、3年で11等級に戻ります。
しかし、その3年間がそれほど甘くないのです。
元の等級に戻るまでの3年間は「事故あり係数」というのが適用されて、1件の事故に対して3年となり、等級の割引率が、事故がない場合と同じ等級でも「事故あり係数」バージョンの低い割引率が適用されます。
事故なし
- 8等級=40%割引
- 9等級=43%割引
- 10等級=45%割引
事故あり
- 8等級=21%割引
- 9等級=22%割引
- 10等級=23%割引
上記のように、同じ等級でも割引率が全く異なり、事故で保険を使ったら3年間は保険料アップが否めない、もどかしい期間となります。
この事故あり係数は最大6年間まであり、保険期間中に2件の事故があると6等級下がる上に、その後の6年間は割引率が低い期間が続くことになります。
よって、事故時より自動車保険と使うべきかどうかの判断が必要になってきます。
事故の翌年の保険料を保険会社に問い合わすと、概算で見積もってもらえるので、事故後に、保険を使った際のプラスされた保険料と、保険を使わずに自己負担で自動車を修理する修理費用の差額を割り出しみると、「場合によっては自己負担のほうが安く済む」こともあります。
デメリット等級について
はじめに説明した、純新規で6等級から始まる件ですが、初めての自動車保険の次年度は7等級と思っている矢先に、万が一の事故により、もし保険を使って今ったらどうなるのでしょう。
もちろん3等級下がりますが、実は5等級以下の1〜5等級は「デメリット等級」といわれ、しかも3等級以下は割引率ではなく、「割増率が適用」されてしまいます。
- 3等級=12%割増
- 2等級=24%割増
- 1等級=64%割増
保険会社によっては、次年度の保険の引き受けを断られることもあるので「デメリット等級」になったら、再び6等級まで地道に上がっていくしかないのです。
ここで、新しく自動車を買い換えて、また他社で新規契約すれば良いのでは?と、思う方もいるでしょう。
残念ながら、過去13ヶ月間に加入していた自動車保険の等級の中で「デメリット等級」は、そのまま引き継がれるルールになっています。
逆を言えば、13ヶ月を超えている自動車保険の等級は引き継がれないので、事故後に13ヶ月間、保険に加入でせずに自動車を運転しないと言うなら、「デメリット等級」の自然消滅もできなくはないでのですが、まさか無保険で運転するという考えを起こしたりするのは辞めましょう。
自動車保険の等級制度の活用方法
さて、自動車保険の等級は、なんだか縛りがあるし自分で選べるものでもないけれど、保険料を安くするために等級をうまく活用する方法はないのかしらと思いませんか?
せっかく20等級まで上り詰めたのに、
だとか、引っ越しをして、
など、そんな時には、なんらかの理由で保険の解約をした場合も継続してきた高い等級を維持する方法があります。
ただし、いくつかの条件に当てはまった場合に限られますが、こう言った際には「中断」と言う方法があります。
自動車保険の「中断」手続きをして等級を維持する
自動車保険を「中断」すると、現在の等級を維持できるということを説明します。
それでは、どういった時に「中断」ができるのか?
その一定条件は、自動車を手放してしまう、または運転できない(公道を走れない)状態であることに、当てはまる「廃車・譲渡・返還・車検切れの場合」に限り、保険を「中断」して、現在の等級を維持したまま解約することもできます。
解約時に中断証明発行依頼の手続きを同時に行い、保険会社から発行される「中断証明書」を保管しておくと、10年以内にまた自動車保険を新規加入する際は「中断証明書」に記載の等級から保険を開始できます。
そのため、本来の新規では6等級のところを、解約時20等級だった場合には、20等級から新規加入できるため保険料が安くできることになります。
もうひとつ「中断」できる事由として「海外渡航」があります。
長期の海外赴任や海外留学など、「1年以上自動車を運転することがない場合」に、自動車を手放したくない場合も自動車保険を「中断」することが可能です。
帰国後に保険を再開する場合に、入出国日の事実証明のため、旅券やパスポートの写しを提出することで「中断新規」として引き受け可能になります。
というように、高い等級を維持したまま解約をすることもできるため、自動車保険を解約する際には、覚えておくことをおすすめします。
ちなみに「中断」できる等級は、7等級以上となっています。
そして、保険期間途中の解約では、解約時点の等級が維持され、満期をもって解約した場合は、1等級上がった等級(20等級を除く)で「中断」することもできるため、可能な限り満期終了で「中断証明書」の発行手続きをするのがおすすめです。
2台目の自動車保険で等級を利用して保険料を安くする
なんてと思ったことはありませんか?2台を複数所有新規と言って、「セカンドカーの割引が適用」されます。
その割引とは、等級が純新規の6等級ではなく、7等級(20〜30%割引)から開始できるメリットがあります。
そのため同じ新規契約でもはじめから保険料が安く加入できることになります。ただし、7等級から始めるには、「1台目の自動車保険が11等級以上」という条件が必要ですので、そこは注意しましょう。
ではここで、同居している親族の間で2台目の自動車で保険料を安くする方法をご紹介します。
例1
- 父:50歳/20等級で自動車保険継続中
- 子:19歳/初めて自動車を購入て保険に入る
例1では、子供の年齢が若いため自動車保険の保険料が高くなってしまいます。
そういう時は、父の20等級を子供の自動車保険に充てて、父がセカンドカー割引の7等級として保険を継続することもできます。
そうなると、若い年齢でも20等級なら割引率が高いため、少しでも保険料が安くなると言うわけです。
例2
- 本人:45歳/20等級で自動車保険を継続中(小型乗用車・車両保険なし)
- 配偶者:45歳/2台目の新車(普通乗用車)購入して、高額な車両金額で車両保険に入りたい
例2のような場合に、2台目の新車は保険料が高くなることが予想されます。
そういう時には、継続中の20等級を新車の保険に充てることで、高額な車両保険を付けても等級の割引で緩和されて保険料が安くできることになります。
もともとの小型乗用車が7等級になるという例1の解釈と同じです。
例3
- 20等級(A車)と10等級(B車)の2台で自動車保険を継続中
- A車を譲渡するので、自動車の保有台数が1台になる
例3では、自動車が2台から1台に減ることで、「減車入替」が可能になります。
譲渡するA車の20等級をB車に充てます。そしてB車の10等級を中断してしまうという方法で保有している自動車を高い等級の割引で継続可能になるのです。
以上のような例で、等級をうまく使って自動車保険の保険料を安くすることもできるのですが、これにも「一定条件に当てはまる時にだけ適用」されるので、注意が必要です。
むやみに等級を交換できるわけではなく、増車(所有台数が新たに増える)や減車(所有台数が減る)といって自動車の所有台数が変わる時にだけ適用されるもので、もともと2台ある自動車の等級を交換するようなことは不可能です。
また、別居している親族の間で等級を入れ替えるのこともできません。
等級の割引率は保険会社によって違うの?
自動車保険に加入すると、自動的に適用されるノンフリート等級は等級ごとによって割引率が異なります。
最高等級の20等級で、現在ほとんどの保険会社で63%ですが、そこに至るまでにその間の等級では、保険会社によって割引率の設定が多少ことなります。
それほど大きな差はなく1%くらいの差なので保険料にそれほど影響がないのですが、「純新規の6等級」では異なる割引率を適用している保険会社もあります。
その他に、前契約ありの新規といって13ヶ月以内に解約や解除になった、自動車保険がある場合は、改めて保険に入る時の等級が新規でも6F等級となり、純新規の6S等級よりも保険料が高くなることもあります。
またもうひとつの等級で、アルファベット表記があるのが、「7S等級と7F等級」です。
ご本人や同居している親族の間で、2台めの契約でセカンドカー割引が適用されるのが、7S等級と表記され、6S等級から事故なしで等級が上がった場合に7F等級という表記になります。
同じ6等級や7等級でも意味合いが変わり、割引率も異なるというわけです。
等級に付随するアルファベット表記は、6等級と7等級以外には存在しないのですが、必ずしも「S」や「F」とは限りません。一部の保険会社で「6A」「6B」「6C」などの表記で記名被保険者の年齢条件で割増、割引を適用したりすることもあります。
等級の割引率は、保険会社に直接問い合わせると教えてもらえます。
特に純新規やセカンドカー割引だったり、ちょうど中間の10等級〜15等級くらいも保険会社によって割引率が異なることが多く、そのことから自動車保険には新規加入でも、継続中の更新契約の際も、他社と比較のため改めて見積もりすることをおすすめします。
まとめ
いろいろなルールがあって、わかりづらい自動車保険の等級制度ですが、保険料を安くするためには、等級制度を上手に活用したいものですね。
自動車保険に加入すると、おのずと自動的に付いてくる等級なので、大きく割引率が変化するのは「事故あり」か「事故なし」となります。
ポイント1.車両保険を使うか自己負担で修理するか検討しよう
事故で自動車保険を使うと、次回の更新時へのペナルティとして、
- 保険料が大幅にアップする
- その後3年間も通常の等級より割引率が下がる
ので、少しの車両保険の損害であったら自己負担で修理したほうがよいか、保険会社に次回更新時の保険料を見積もりして検討しましょう。
ポイント2.増車で2台目の以降の自動車保険に加入する時の等級
セカンドカー割引が適用される2台目以降の自動車保険では、
- 年齢条件
- 使用目的
- 車両金額
によって、保険料が高くなったり安くなったりするため、1台目の等級を新規の2台目に入替ることもできます。
こちらも保険会社に相談すると見積もり試算してもらえるので、検討するほうが良いでしょう。
ポイント3.減車で自動車の所有台数が1台減る場合の等級
複数の自動車を所有していたが、1台廃車や譲渡をするといった場合に、手放す自動車保険の等級が高ければ、継続する自動車保険に入れ替えることもできます。
1台分の保険を中断手続きを併用して、高い等級を現在使用している自動車に上手に適用すると保険料が安くなるので、自動車を手放す時は、保険会社に申し出てみましょう。
ポイント4.しばらく自動車保険が必要ない時にも高い等級を維持できる
海外渡航や転居で長期間自動車を運転することがない場合などで、自動車保険を一旦解約する際に「解約+中断」又は「満期終了+中断」の手続きをすることで、10年間は自動車保険を加入当初の等級(満期終了は1等級上がる)をキープできます。
等級を保持できる期間が長く、同居している親族間であれば、他社の自動車保険でも「中断再開」ができるたため、「中断証明書」は取得しておいたほうが良いのでおすすめします。
「以上のように、自動車保険の等級制度のは、地味ながら上手に活用して保険料を安くすることがもできます。
よくわからなくても保険会社に問い合わせれば、すぐ概算で見積もり試算をしてもらえるため、面倒がらずに自動車を手放す時や新車購入の際には、じっくり見積もりの上、検討してみましょう。」